長い学生生活を終え、IT企業でSEをしてます。

業務以外の部分での会社での活動や社外でやっている活動、セミナー等に参加しての感想やレポート、思ったことや関心のあることを中心に綴っています。

色々な人に会っての気づき、感銘を受けた本、美術展や映画の感想等も不定期的に更新していく予定です。

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2011.06.27.Mon フランス政府「農事功労勲章」受勲の著名料理評論家が語るミシュランガイドの企業戦略

 大学院の先輩の紹介で行ったSTRAMDの特別講義についてご紹介します。

ミシュランの企業戦略がメインかなと思いきや、ミシュランの話だけでなく、フランス政府の話や世界の料理人のトレンドなど幅広く色々なことに触れられていました。

驚いたのはフランスがどれだけ食を大切にしているかということ。
フランスが国賓を呼ぶときに行われる晩餐会は、その出す料理、お酒をきちんと大統領がチェックするそうです。そして、晩餐会などのメニューは記録として残されているそうで、見る人が見れば、そのお酒のランクなどで、フランスにとってその人がどれだけ大切に扱われているかが分かるそうです。
その観点でみると、日本からの国賓は軽く見られている傾向があるらしいです。日本の政府首脳たちがその教養が足りないこともあるのかもしれません。でも、この話はすごく残念だなと思いました。
「食の外交」ってフレーズは聞いたことがありましたが、まさかそこまで本当に外交に関わるものだとは思いませんでした。

昭和天皇の時代に日本に訪れたミッテランが日本でのもてなしに感動し、フランス大使館に昭和天皇を招いたというエピソードから、日本の皇室に対して敬意を払っていたフランスが、平成天皇がフランスを訪れた際に、フランスの食の外交史に3度しか登場しない、超高級なシャンパンが振る舞われたという話はぐっと来るものがありました。
やっぱり人にしてあげられることをしっかりとするのは大切なことなんだなと思いました。

ミシュランガイドに話を移しますが、ミシュランガイドは、ミシュラン兄弟が「これからは車の時代になる。車をたくさん利用してもらいたい」という願いから、今でいうCSR的なものとして無料で、パリ発で行けるお店の紹介やホテルの紹介をしたのが始まりです。
とはいうものの、最初のころはそこまでお店の情報は載っておらず、車のメンテナンスなどの情報がのっていたようです。
無料だったのが有料化されたのは、ある時ミシュランが訪れた車の修理工場で、ミシュランガイドがそこにあった台の高さの調整に使われていたのを見て、やはり人はお金を払わないと大切に取り扱わないと思ったことがきっかけらしいです。

元来、
三つ星は「そこの店に“食べに行くだけ”の価値がある」
二つ星は「そこの店に遠回りしてでも行く価値がある」
ということらしいです。
その中には、料理の味だけでなく、店のサービスも判断基準となっていて、それもサービスの良し悪しだけでなくサーブする人がどういうランクの人が何人いるなど明確な基準が決められているそうです。

これは2000年くらいまでこの基準が適用されてました。
ただ、世界における料理人の地位、ミシュランガイドのビジネス的な側面での行き詰まりなどから、少しずつこの厳格な規定から変化をしていきます。

まずその背景の話です。
1973年にボキューズが斬新なフランス料理を作り、それがヌーヴェル・キュイジーヌ(フランス語で「新しい料理」)と持て囃されました。
それまでは、ミシュランの星が付くレストランはホテルのレストランだったのが、オーナーシェフのいるレストランがどんどんと星を取り、またスターシェフが多く誕生し始めたのもこの頃だそうです。
そして、そういうシェフたちが海外へ出て、料理フェアをする、海外に店舗を持つ、それをフランス政府も政治に利用して、フランス料理外交を活発化させていきます。
また逆に日本をはじめ、世界各国からそのフランス料理のシェフに憧れ、弟子入りのために門戸をたたいて、フランス料理の全盛期となりました。

それから数十年、今はどうなっているかといえば、世界的なスターシェフの多くはスペインに集中していて、かつてのフランス料理のシェフのステータスは失われています。
料理人たちも昔はブランド志向で、星の付く店への修業を希望していましたが、今では誰につくかということが非常に重要視される時代となって、ミシュランガイドの格付けの影響力も衰えてきました。

これらは、もちろんミシュランガイドにも大きな影響を与えます。
そして2000年以降ミシュランガイドの錯綜が進んできます。
まず、ミシュランガイドの星が、店の味だけでも付くようになりました。
かつての三つ星が示す「そこの店に“食べに行くだけ”の価値がある」から、「そのテーブルに着くために行くだけの価値がある」

もともとはパリ発で行ける場所が扱われていたミシュランガイドもアメリカ版や日本版ができるようになりました。そして、アメリカでの初めての発売の時に写真が載り始めます。
それまで写真が載らなかったのは、おそらく人の目を通したほうが真実が伝わるというミシュランガイドの意志があったと思われるとのことでしたが、その意志も揺らいでいるようです。
かつてはその格付けの理由を語らなかったミシュランガイドがコメントを付けるようになったことも変化の一つだそうです。
このコメントですが、それを書くのは格付けの調査員ではない別のライターのようで、どうもコメントの定評はいまいちのようです。

余談ですが、このフランス料理スターシェフがなかなか出ないという料理界の動きに対しては、フランス政府も非常に危機感を覚えたようで、それがフランス料理を世界遺産へ登録するという動きになったようです。
今でも、食がフランスにとっては非常に重要なものなんだなと思いました。

ミシュランガイドのジレンマはビジネスとして、毎年売れるものにするために拡大をしていかなければならないことです。そのために、展開地域を広げ、すでにある地域のものも毎年新たに店を増やしていかなければいけません。
それは一方で、調査員が多く必要になるということで、調査員の質の維持を難しくさせるということです。また、毎年本を買ってもらうためには、多少クオリティを下げることになっても新しい店を増やしていかざるを得ないのです。

この特別講義を聞いて思ったのは、ジレンマに陥ったミシュランガイドは、この先その存在価値がだんだんと落ちていくのではないかということです。
このジレンマの中で、これからどういう戦略を取っていくのか、興味を持って見守っていきたいです。

今回の特別講義で、食についてのとらえ方がだいぶ変わった気がします。
おいしいとか、おいしくないとかそんな風にしか見てなかった料理についての奥深さを知って、食に対しての教養も豊かな人生にはすごく大切なんだろうなと思いました。
お酒と料理についてちょっと勉強したいなというのが今の気持ちです。


| 20:26 | comments(0) | Life |

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